診療科・部門

平尾 素宏 医師

様々な科のパッションの集合力が、
ベストコンディションで手術に臨める原動力。

統括診療部長 外科総括部長 上部消化管外科科長
平尾 素宏 医師

治療は本人が主人公の物語

診察で病気が見つかり手術のために入院する患者さん、ならびにそのご家族には最初に病気や手術の内容などについてデメリットも含めて十分理解頂けるまで説明をします。これは患者さんとご家族が抱いている不安を少しでも軽減させると共に、お互いの信頼関係をできるだけしっかりしたものにするためです。この時点でもう治療は始まっているといえます。

そして、実際の手術に向けて具体的なスケジュールを組むと共に、手術に耐えられる体力や栄養状態が確保できるかどうかを検査で見極めて、必要に応じて栄養介入やリハビリなどを行います。そして、手術が終わり患者さんが元気になって退院していく時の力強い握手やご家族からのお礼の言葉に感動することもよくあります。

しかし、本当に病気を治したのは患者さん本人の自然治癒力であり強い精神力であることは言うまでもありません。治療の主人公はあくまでも患者さん本人であり、外科医は常にサポート役であると思っています。

先輩の背中が教科書

外科医としてスキルアップを目指す将来有望な若い方々が研修に来ています。ここで学べることはたくさんあり、またそれらは必ず自分の力となって人々の役に立てるものです。しかし、知識や技術が本当に自分のものとして身に付くためには誰かから強制されたり、義務的にしたりするのではなく、自分で学びたいとか会得したいという想いがそこには不可欠と言えます。だから私たち指導医は、手術のみならず患者さんとの日頃の会話や接し方など全てに亘って率先して行い、その背中を専攻医や研修医達に見せるようにしています。

手術はいつも予定時間内に終了するとは限りません。膵臓がん、食道がん、再発直腸がんなどの場合は時として大幅に時間が掛かることもあります。しかし、夜間と休日はオンコール制なので、プライベートの時間は十分確保できると思いますので、そんな時間を利用して外科診療、化学療法や放射線療法などのエビデンスを読み込むなどの勉強をしてください。学ぶという姿勢が大切だと思います。

やりがいのある仕事という幸せ

例えば、がん治療の場合などでは若い患者さんはがんをターゲットとして治療に臨めば良いのですが、高齢者ではがんだけでなく循環器疾患や呼吸器疾患、あるいは糖尿病など併存疾患も同時に看ながら治療を行わなくてはならないことが多いです。そんな時には循環器内科や糖尿病内科などといった関連する他の診療科との連携が不可欠となりますが、当大阪医療センターでは各診療科同士の垣根が低いのが特長で、迅速な連携が可能です。つまり、手術に向けてのベストコンディションが早く確実に構築できます。これは取りも直さず患者さんを助けたいという様々な科のパッション(情熱)の集合力であり、質の高い治療への原動力であることは間違いありません。私たちはこのかけがえのないチーム力をさらに向上させるために、常に研鑽を怠りません。

外科医の仕事はもちろん楽な仕事ではありません。しかし、患者さんやご家族の笑顔に触れる度に、やりがいのある仕事であると実感できると言えます。

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