診療科・部門

加藤 健志 医師

患者さんのことをまず第一に考えることで、
最善の方向が見えてきます。

下部消化管外科 科長
加藤 健志 医師

最初に基本を学んだ場所

もう30年も前のことになりますが、医師になって最初に研修を受けた施設がここ大阪医療センターです。その後、他の施設で勤務し2年前に戻ってきました。ここでは手術をはじめ病気や治療について技術的なことだけでなく、基本の考え方や筋道の立て方などを最初に学びました。研究スタイルの確立についてとか外科医そのものに対する考え方など本当に多くの事柄をここで学ぶことができましたが、中でも印象に強く残っているのは患者さんへの接し方です。常に患者さんのことを第一に考えて治療に望むという心構えは今でも最も大切なこととして心に刻んでいます。

四半世紀ぶりに最初の研修の地に戻ってきたわけですが、不思議なことに当時と同じことを感じました。それは、ここには最先端があるということです。もちろん当時の最先端は今とは比較になりませんが、ここは常に最先端の事柄が学べる施設であるということです。

親と思って患者さんに接すること

患者さんのことを第一に考えて治療に望むということをずっと心に外科医の道を歩んできたので、後進にもそれをしっかりと伝えるようにしています。

外科医の仕事は決して楽なものではありません。しかし、病気を治そうと一番頑張っているのは他ならぬ患者さん本人です。そう考えれば個々の患者さんに最適の治療方法を見つけてベストを尽くそうと自然に頭と体が動くはずです。そのために良く言っているのが「患者さんを自分の親と思って接する」ということです。

もちろん本当の親として接して、情が移り過ぎても適切ではありませんし、また完全な他人のままで機械的な対応になってしまっても問題です。それぞれの方に合わせたバランスの良い頃合い、乃至立ち位置が大切ですが、それが上手くできればその患者さんに最適で最善の治療をして差し上げることが可能となると思います。

そんな気持ちで臨む毎日の医療現場の中で、まずは自分の不得意な部分を見つけて、その改善に打ち込めばスキルは必ず向上していきます。

常に新しい治療法にチャレンジしています

当大阪医療センターでは病気の根治や患者さんの身体的な負担軽減などを目指して、常に新しい治療方法を積極的に取り入れています。例えば直腸がんでは、従来は進行の度合いによっては人工肛門が避けられない場合がありましたが、手術前に化学療法を行うことで腫瘍部分をできるだけ小さくしておいてから手術することで、以前なら間違いなく人工肛門になっていたような状態でも、それを回避することができるようになってきています。これによって明らかに患者さんに希望を与え、同時にQOL(生活の質)を高めることができると言えます。また、未承認薬による治療機会を提供する治験を通じて、積極的に新薬の開発にも関与しています。

どんな手術でも患者さんに身体的な負担は掛かります。もし、薬だけで完治するとしたら誰でもその方を望むでしょう。外科医の私が言うのもおかしいかも知れませんが、なるべく手術をしないで済む方法を模索するのも私たちの仕事です。ただ、どうしても手術が必要になったら、できるだけ負担の少ない方法を探す、それが本当の患者さん第一と考えています。

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